COLUMN

N.011【タイヤの種類とパンク修理】

#コラム

自転車をはじめたばかりで最初に対面するトラブルの一つがパンクだ。それも以前に比べて減っている。タイヤの耐パンク性能が向上したことも一因だが、自動車のライトカバーがガラスからプラスチック製に代わり、事故後の道路にガラス片が落ちていることが少なくなったからだと聞いた。

しかしながらパンクは起こるときは起きてしまう。誰かパンク修理の手練れと一緒でない限りは自分で作業をする必要がある。クリンチャーと呼ばれるタイヤであれば、タイヤ自体によほどのダメージがない限り、インナーチューブを取り換えて携帯ポンプで元の空気圧にすれば完璧に性能が復活する。

万が一タイヤが割けてしまうトラブルに備えて、大きめのパッチ(ブートキット)をサドルバック等に忍ばせておくことは正しい。その際には、割けた部分にパッチを貼り、インナーチューブを交換する。ただし元の空気圧に設定するとタイヤが変形する恐れがあるので、それが起こらないレベルの空気圧を携帯ポンプで充てんする。タイヤの性能が完璧に復活するわけではないが、とりあえず家路にはつける。

最近シェアを伸ばしているチューブレスレディタイヤについては、パンク時の穴の大小にもよるが内部に充てんされたシーラント剤の効果によってパンク穴が塞がる。空気圧がやや落ちるので空気の再充てんは必要だが、ほぼ完璧なレベルで走行性能を復活できる。しかしシーラントで穴が塞がらないレベルのパンクはやっかいだ。

タイヤを外し、中のシーラントを洗い流し、その上でタイヤ本体にパッチ(ブートキット)を張り、インナーチューブを入れる。チューブレスタイヤの場合、ビードを上げる作業が携帯ポンプでは難しい(タイヤとリムの相性によっては簡単に上がるものもある)ので、インナーチューブを入れてチューブドタイヤとして運用するのが賢明だ。乗り心地に優れるといった利点も持つが、長期のツーリング用途ではチューブドのクリンチャータイヤの方が安心できる。

伝統的なチューブラータイヤは、絶滅危惧種だがロードレースを中心にいまだ残っている。こちらは出先でパンクをした場合、携行したスペアのタイヤに付け替え直して走る必要がある。90年代前半までは「リムセメント」と呼ばれるチューブラータイヤをリムに貼り付ける専用の接着剤によってタイヤを貼り付けていたが、現在は「チューブラーテープ」と呼ばれる製品でタイヤを固定する。したがって「チューブラーテープ」でタイヤを固定するサイクリストは、このテープも携行する必要がある。

このタイヤのメリットは、クリンチャータイプと異なりタイヤの断面形状が真円に近いため、乗り心地が良かったり、コーナリング時のグリップ感(グリップ力ではない)を得やすい。また、カーボンホイールと一緒に運用した場合、軽量化ができて走りが軽くなる(プロレースのはこのメリットで使われている)。とは言え、一般のサイクリストの普段使いには圧倒的に手間がかかり不便だ。それでもこのタイヤを使うユーザーは、その〝シルキー〟と呼ばれるチューブラータイヤ独特の乗り心地のよさにほれ込んでいるからだ。

ちなみに、パンクしたチューブラータイヤ(小さな穴が開いたレベル)は修理できなくもない。タイヤ裏の縫い合わせたケーシングの糸をほどき、中にあるインナーチューブにパッチを貼って穴を防ぐ。後にケーシングを縫い合わせるという作業で修理できるが、こうした面倒な作業をする人は、今やほぼいない。もったいないことだと思う。

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