COLUMN

N.006【自転車が軽いということ】

#コラム

国際自転車連合(Union Cycliste Internationale:仏語)という組織は、世界中の自転車スポーツを統括している。UCIは自転車競技の規則を定めており、オリンピックやツール・ド・フランス(UCIの公認大会ならびにUCIルールに基づき開催される大会)を走る自転車の重量は6.8㎏を下回ってはいけないことになっている。6.8㎏というと大根5本くらい? の重さだ。これはプロレーサーの規程であるから、最先端の軽量パーツを使えば、実際ロードバイクはもっと軽量化できる。

日本サイクリング協会(JCA)が主催するマウンテンサイクリング・イン・乗鞍というヒルクライム大会では、6.8㎏の規制などものともしない超軽量自転車で挑む選手がいることで話題になったりする。4㎏台の自転車で参加という人の記事を自転車専門誌で見たことがある。とても高額な部品で組まれた高級自転車だ。

では〝持って軽い自転車〟=〝走りが軽い〟かといえば、フレームビルダーの方々へ伺うと一概には言えないという。ひと言でいえば、走りが軽い自転車は振動減衰性という値が高い自転車なのだそうだ。そして、そのための素材では、なんといってもスチールが最適だという方が多いようだ(スチールフレームを作るビルダーが多いので当たり前かもしれないが)。

カーボンの良いところは、繊維の貼る方向を変えることで振動減衰性や剛性のレベルをコントロールできるところにある。しかしながらコンピュータで計算した設計図に従い緻密に方向を変えて繊維を型に貼りつけてゆくのは根気を要する作業だ。それゆえにカーボンフレームは高額になってしまいがちだ。そもそもカーボンフレームは、スチールの振動減衰性を見習って作られていると言っても過言ではない。プライスパフォーマンスを含めるとカーボンフレームよりもスチールの方が良いのかもしれない‥‥。

関連記事
最新記事