安田マサテル(MASO)ビルダー/オーナー
アトリエキノピオ主宰
1973.06.30 生まれ(うし年)
大阪芸術大学金属工芸科、同専攻科卒業
EDUCATION: Osaka University of Art
EXPERIENCE:
1998-2000 assistant of Metal Crafts Labo in Osaka University of Art
2003-2005 Panasonic Bicycle Designer : Osaka Japan
2003-2004 Sanpatrignano Design advisor :Trento Italy
2004-2010 ZULLO Racing bike Frame builder :Verona Italy
2011 PASSONI Product designer :Lecco Italy
2012-Atelier Kinopio : Nagano Japan
AWARDS and EXHIBITION
2000 Asahi Modern Craft Exhibition :Japan
2003/2004 EICMA milan bike show :Italy
2008/2009 North America Handmade Bike Show :US
2009/2010 Europe handmade bike exhibition : Germany
2011 EURO-Bike show :Germany
2019 North America Handmade Bike Show as Invited builder :US
2023 Tokyo Wood Collection Show: invited Product :Japan
2023 A-Design Award Gold winner :Italy
LANGUAGE SKILLS:
Japanese (Native)
Italian (Near Native)
English (Intermediate)
店舗外観
高校生の時から自転車大好きな自転車少年だったマサテル少年は、自転車店でのアルバイトをしては長い旅に出るを繰り返していた。あるときサイクリングで鳥取県を訪れていた時にタイヤがパンクしてしまった。タイヤは、チューブラーと呼ばれる自転車競技に使う特別な仕様のタイヤで、通常の自転車店では修理はおろか、タイヤ自体も販売していない。
マサテル少年は、立ち寄った自転車店で紹介をされたプレスト(Presto、本城サイクルワークスのブランド。主に競輪選手用のトラック自転車を製造・販売)で衝撃を受けた。自転車店でアルバイトをしているので大概のメカニックトトラブルに対処は出来るものの、フレームを作ることはできなかったマサテル少年は、フレームづくりを志すことを決意し、急遽美大の金属工芸科へ進学することを決めた。
大学では金属工芸を学んでいたので自転車のスチールフレームづくりはお手の物だったが、マサテル青年は4年生になっても就職ができず困り果てていた。仕方なく大学院へ進むのだがそこで実習室使い放題のパラダイスを発見。木製自転車MOCCLE第1号車を生み出すのだ。この第1号車は、2001年の朝日現代クラフト展での入選作となった。
この大学院時代にマサテル青年には、「自転車を作るのにイタリアの自転車工房で修業をしたい」という思いがフツフツを沸き、このMOCCLE1号車を携えてミラノの知り合いを伝手に単独渡欧。片っ端からイタリアの自転車工房をMOCCLE1号に乗って回って訪れては自分が修行できるところを探しまくった。
イタリアの名工房CASATI、SCAPIN、COLUMBUS/CINELLI・・・・CASATIを訪れたときは、工房からCASATI一家が全員出てきて木の自転車をまじまじと眺めてくれたそうだ。
なかなか目当ての工房が見つからないマサテル青年は、ワインで有名な、SAN PATRIGNANOへ向かう。この町は、実はドラッグなどから社会復帰を目指す厚生施設を町全体で抱えていることで有名で、木工、絵画修復、壁紙、門扉、チーズやワインも厚生施設の中で厚生事業として行われている。その厚生事業の中に自転車のフレームづくりのコースがあるのだ。マサテル青年はMOCCLE1号とともにそこへ飛び込む。
マエストロ部門だ。自転車は当時、ANDREA PESENTIがCOLOMBUSつながりで仕切っていたが、PESENTIはプロデュースや設計は出来るものの手を動かす人ではないため、PESENTIは、職人兼教師として、Dario PegorettiとZulloを呼んだ。Zulloは、当時は工房を半ば閉めていた頃。マサテル青年は「俺はデザインができる」と手を挙げてSAN PATRIGNANOの工房にひとまず腰を落ち着けたのだった。2002年-2003年当時は、スチールフレームが廃れ、アルミフレーム、カーボンフレーム、アルミ・カーボンのハイブリッドなどが混在していた頃。このSAN PETRNGANOの工房は、厚生施設だから国からの助成金が手厚く施設運営ができ職業訓練としてフレーム作りが行われていたことで、それまで台湾に頼っていた有名メーカーがこぞってSAN PATRINGANOにフレームづくりを依頼してきた。
あの故マルコ・パンターニがツールで使用したカレッラもここSAN PATRIGNANOで制作されていると言う。ドラックやアルコールに蝕まれた人生を立て直す若者たちの施設で、ジロやツールといった華やかな舞台で活躍する自転車を製作していたとは世の中面白いものである。ちなみにこの時同じSAN PATRIGNANOで働いていた自転車職人の同僚とばったり2019年のNAHBS(北米ハンドメイドバイシクルショウ)で再会したというおまけもある。
マサテル青年は、SAN PATRIGNANOの次のステップとしてZULLOを師匠にすることを選んだ。ZULLOはその時点では一人親方のスチールメーカーだったが以前は、職人10人ほどを抱えて年産ン千台、スチールのほかカーボンやアルミのフレームも制作していた。Tiziano ZULLO(ティツィアーノ・ズッロ)は、1952年生まれで、1980年代から90年代にかけてオランダのTVMチームにフレームを供給していたことでも有名なイタリアの代表的フレームビルダーだ。TVMには、オランダの2大山岳スペシャリスト、スティーブン・ルークスとゲルト・ヤン・テオニス、そしてロシアのコニシェフなどが在籍しツールの山岳区間で大活躍していた。なんでPegorettiではなくてZulloを選んだかって?鬼才Pegorettiとは馬が合わなかったんだって。Dario・Pegorettiは、まさにフレームづくりの天才だったが、彼に言わせればデローザのUgo De Rosaはもっとすごいとのこと。「Ugoは、フレームづくりを量産化しても品質を下げない。高品質のまま量産してしまうんだ」と。まあ、UgoもDarioも鬼籍に入ってしまった。
マサテル青年は、在イタリアでフレームづくり修業とデザインや塗装をZULLOでやっていたが、イタリアに来て10年が経った2012年に恋がやってきてマサテル青年を日本に連れ戻してしまう。
イタリアでの仕事を続けるのか、彼女を取るのか悩んだ末に2012年に帰国、結婚。奥様のふるさと長野県に移り住む。場所は、長野県の伊那谷の小高い丘の上で、そこはまるでSAN PATRIGNANOの景色に瓜二つ。そこにあった廃屋を改造してアトリエ(工房)兼住居に改造して10年、今日に至る。
このアトリエで、MOCCLE2号が生まれた。実は筆者もこのMOCCLE2号に乗る機会を今回得たが、重さ(約14㎏)に関係なくペダルを踏むと良く進む自転車に仕上がっている。木のフレーム体は二つのパーツから出来上がっており、素材は素材はサクラ、クルミなどとヒバやヒノキとのハイブリット材だ。2023年に世界的なデザインコンペ [A’Design Award]で金賞を受賞した逸品。
COLOMBUSやReynoldsなど有名なスチールチューブメーカーは、ステッカーを貼って品質保証をするわけだが、ZULLO曰く「過酷なレースに耐えうるフレームを作っているのは俺たちだ。パイプ屋ではない。俺はパイプ屋の奴隷にはならない」と言っていたとか。自転車フレームは素材で出来ているのではなく、その乗り味や品質を拵えてゆくのがビルダーの仕事だということだろう。
アトリエキノピオでは、スチールのフレームづくりのほか、塗装や修理、レストアも受けている(レストアは、モノにより受けられないものがあるので要相談)。マサテルおじさん、すっかりこのイタリアのワイン畑のような箕輪町に奥様と息子2人と猫2匹で腰を落ち着けたようだ。イタリアといえば古くからのCICLI CORSA(イタリア語で競技用自転車の意味)の国だ。この伝統を実はマサテルおじさん、しっかりと我が国に持ち込んでくれた。乗って楽しい、ワクワクする、おしゃれな自転車を日本人に作ってくれることが嬉しい。
アトリエキノピオでは塗装のワークショップもやりたいとのこと。特にオーダーフレームを受注しているショップオーナー向けに展開を検討している。
ブランド名 | MOCCLE(木製自転車) ZULLO(安田氏がイタリアで修業したハンドメイド自転車のブランドで、現在安田氏も制作に携わっている) |
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店名 | アトリエ・キノピオ |
代表者名 | 安田マサテル |
所在地 |
Atelier Kinopio アトリエ キノピオ 399-4604 長野県 上伊那郡 箕輪町 福与444 |
営業時間 | 平日13:00〜19:00 |
定休日 | 土・日・祝日のご来訪はお電話にてご予約ください |
TEL | TEL: 0265-95-4860 |
乗り方・車種 | Moccle(フレームが木製の良く進む自転車) ZULLO(イタリアンメイド、スチール製フレームのロードバイク) DEANIMA(イタリアンメイド、オールカーボン製のカスタムメイドロードバイク) |
フレーム材料 | 木、アルミニウムロストワックスキャスティング(MOCCLE) スチール(ZULLO) |
注文方法 | 電話でご連絡ください。 |
問い合わせ受付可能言語 | 日本語、英語、イタリア語 |
オーダーメイド自転車納期 | 納期についてはお問い合わせください |
修理・リペイント | 修理、リペイントも受け付けています。リペイントは自社の窯で行います。 |
塗装 | 塗装は自社で行っています。 |
基本価格・支払方法 | MOCCLE:99万円 ZULLOカスタムメイドフレーム:現在、為替レートの変動幅が大きく、また航空便の輸送事情が不安定である状況です。 しばらくの間、輸入商品については都度お見積もりです。 |
URL | http://www.kinopio.com/products/Atelier.html |
info@kinopio.com |